災害支援の現場で起きた“見えない格差”

災害が起きたとき、人々は助け合いながら復旧へと歩み始めます。けれど、そんな「助け合い」の現場にも、思わぬ“格差”が生まれることがあります。今回は、私が知る実例を通じて、土砂災害後の支援の裏側にあるリアルをお伝えしたいと思います。


町内会長が“自宅中心”にボランティアを配置

これは嘘のようで本当の話です。

土砂災害に見舞われた地域で、ようやくボランティアセンターが立ち上がりました。その情報をいち早くキャッチしたのが、町内会長さんでした。高齢ながらも情報感度が高い彼は、自分の家に重点的にボランティアを配置させたのです。

結果として、町内会長宅の周辺は綺麗に土砂が撤去されていきましたが、他の住民の家は後回しにされる事態に。支援が必要な人たちの元に、なかなか手が届かない現実が生まれてしまったのです。


証言者は“圧迫骨折”を経験した女性

この事実を教えてくれたのは、以前の記事でもご紹介した、土砂撤去で腰を壊し、後に圧迫骨折と診断された女性です。

彼女は、体調の異変を感じながらも自力で土砂をかき出そうとしました。周囲からの支援が届かなかったのです。後にその理由が「町内会長の指示によってボランティアが偏って配置されていたこと」だと知り、大きな失望を抱いていました。

【土砂災害後の対応】自力で片付けないで!圧迫骨折を防ぐために知っておくべき支援の話


声の大きい人が得をする?

災害時は、冷静な判断や声の強さが、支援の「受け取りやすさ」を左右する場面があります。

情報を得るスピード、行政への働きかけの上手さ、人間関係──そういった“見えない力”が、被災後の生活にまで影響を与えるのです。逆に、声を上げられない高齢者や、他人を優先しがちな人ほど、支援の輪から取り残されがちです。


地域コミュニティの光と影

もちろん、町内会や自治会は普段から地域を支える大切な存在です。しかし、一部のリーダーが支援を自分本位に動かすことで、かえって住民間の溝を深めてしまうこともあります。

支援をする側(社会福祉協議会や行政)にも、客観的な判断や公平性の目線が求められます。とくに災害時こそ、“平等に届ける力”が試されるのだと思いますが、現場は混乱しているし、昨日今日現場に来た社会福祉協議会の職員がその地域を正確に理解できるわけでもありません。だから、仕方ない部分もあるのかなと思いました。


【まとめ】支援は“必要な人”に届いてこそ意味がある

災害はすべての人に等しく降りかかりますが、支援は必ずしも平等に届くわけではありません

こうした実例があることを知っておくことで、「本当に困っている人」が取り残されるのを防ぐきっかけになるかもしれません。

災害時こそ、声の小さい人にこそ耳を傾けられる社会でありますように。