はじめに:片付けようとするその前に
土砂災害に遭った直後、「とにかく早く片付けなきゃ」「早く片付けてゆっくり横になりたい」と思う方は少なくありません。家の中にまで土砂が流れ込んでいたら、無我夢中で取り除こうとするのも当然です。
しかし、その行動が原因で、体を壊してしまう人が後を絶ちません。この記事では、実際の体験談をもとに、災害後に起こりがちなリスクと、それを回避するための支援制度についてご紹介します。
実際にあった話:足がおかしい…それは圧迫骨折だった
私の知人も、土砂災害のあと、自力で家に入り込んだ土砂を必死に取り除こうとしました。その後しばらくして「足がおかしい」と言い始めたのですが、診察を受けた結果、腰の圧迫骨折と判明しました。
さらに驚いたのは、その圧迫骨折が半年後になってから症状として出たことです。無理な作業による疲労が蓄積し、気づかないうちに骨へダメージが及んでいたのです。
ウエイトリフターでも腰を壊した現実
これは決して高齢者や体力のない人に限った話ではありません。東日本大震災で津波の被害を受けた石巻では、日頃からウエイトリフティングをしていた筋力自慢の方が、土砂撤去作業によって腰を痛めました。
鍛えている人ですら壊されるほど、土砂は重く過酷な存在なのです。
じゃあ、誰が助けてくれるの?
知人が多い方なら手伝ってもらえるかもしれません。お金があれば業者を雇うこともできます(ただし、みんな依頼するのでかなり待ち時間があります)。でも、それができない人はどうすればいいのでしょうか?
答えの一つに、社会福祉協議会の災害ボランティアセンターです。
社会福祉協議会の活用法
災害が発生すると、多くの市町村で社会福祉協議会が災害ボランティアセンターを立ち上げます。これは、全国から集まったボランティアを被災者とマッチングさせる仕組みです。
実際に、ボランティアセンターが立ち上がると、職員が地域を巡回しながら、困っている住民の声を聞いてくれます。その際に、
- 家具を外に出したい
- 庭の土砂を撤去してほしい
などのニーズを伝えることができます。
何も知らずに一人で悩んでしまう前に、支援を求めることも災害時の大切な行動です。
情報格差にご注意を
特に高齢の方や、ネットを使わない方は、こうした支援の存在自体を知りません。その結果、孤立し、自力でなんとかしようとして体を壊したり、逆に何もできずに気力を失ってしまうことがあります。
そんな時、近所の人の一声が命を救うこともあるのです。
まとめ:土砂撤去は“力”より“支援”で乗り切る
- 土砂はとても重く、自力での撤去は非常に危険
- 筋力のある人でも、腰を壊すことがある
- 症状が遅れて出るケースも多く、油断は禁物
- 社会福祉協議会を通じて、正しく支援を受けよう
「助けて」と言えることは、弱さではなく、生き抜くための力です。
災害のあと、体も心も壊れてしまわないように。無理をせず、制度と人に頼りましょう。