「こんな場所に家を建てたのが悪い」と言われた——でも、あの日の雷と雨は“どこも助からなかった”

「この土地に家を建てたのが悪い」と言われて

被災地には全国から多くのボランティアの方々が来てくれました。本当にありがたい存在です。
ただ、時折こんな言葉が聞こえてくることがあります。

「こんな場所に家を建てるからだよ」
「元々この地域は地盤が弱いって聞いてた」

もちろん、ハザードマップの確認や備えは大切です。けれど、当時、私はこう思っていました。


私は“あの雷と雨”を体で体験している

あの日、私は家にいて、凄まじい雷と信じられないほどの雨を体で受けていました。
まるで爆発音のような雷が何度も家の近くに落ち、バケツをひっくり返したような雨が、夜通し止まなかったのです。

あの雨、あの雷は、もはや“異常気象”という言葉では足りません。
**「これで崩れなかっただけでも、この街は耐えたほうだ」**と、そう感じました。


ハザードマップでは測れない“空の狂気”

住む場所の選び方、備えの大切さを否定するわけではありません。
ただ、実際に現地にいた人間として言えるのは、

「あの雨の降り方は、どこに家があっても被害を受ける可能性があった」

ということです。

空が本気を出したとき、人は自然の力には勝てません。
私たちにできるのは、**「そのとき、どう動くか」**だけなのです。


そして数年後、全国で起き始めた土砂災害

それから数年が経ちました。
線状降水帯は特別な現象ではなくなり、日本のどこにでも現れるようになりました。
そして各地で、あの日と似たような土砂災害が起きるようになったのです。

そのたびに、私は思います。

「やっぱり、あの日の体感は間違っていなかった」

ハザードマップの赤や黄色のゾーンだけでは、もう測れない時代がきています。
“空の狂気”がどこでも起きる今、「誰にでも起こりうる災害」になっているのです。

あの時の私の「この雨が降るとどこの場所であっても何らかの大きな被害を受ける」という感覚、あれは正しかったのだと思いました。


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