クマによる顔面外傷の実態と防災対策|北海道の被害事例

クマによる人身被害と顔面外傷の実態

全国各地でクマによる人身被害が相次いでいます。特に北海道では住宅街や公園などでの遭遇例が報告されており、被害者の多くは重傷を負っています。

札幌市での実例:安藤伸一郎さん(47歳)

4年前、出勤途中に札幌市東区で安藤さんはクマに襲われました。背後からの攻撃で肋骨6本を骨折、肺に穴が開く重症を負い、背中には80針もの傷が残りました。集中治療室で10日間過ごし、半年以上にわたる入院・リハビリを経ても、いまだ日常生活や仕事には支障が残っています。

「脇や膝の痛みは残り、夜も痛みで目が覚めることがあります。一生ものの後遺症と付き合うしかない状態です」


クマの攻撃による顔面損傷の割合

秋田大学医学部附属病院の中永士師明医師によると、クマによる外傷患者の約9割が顔面に損傷を受けています。

顔面を狙う理由

  • クマは相手を威嚇し、自分の体を大きく見せようとして立ち上がる

  • この際、顔や頭部に攻撃が集中する

  • 爪や牙による「鋭的外傷」と、衝撃による「鈍的外傷」が組み合わさるため、複雑で深刻な損傷になる

中永医師は、北海道のヒグマは本州のツキノワグマよりも体が大きく、攻撃力が高いため、被害はより深刻になると指摘しています。


クマ外傷の特徴(統計)

  • 顔面:90%

  • 腕:70%

  • 頭部:60%

  • 脚:40%

上半身が圧倒的に狙われやすく、特に顔面への被害が深刻です。骨が粉砕されたり、鼻や口が損傷する例もあります。


クマに襲われたときの防御方法

  1. 距離がある場合は、ゆっくり後ずさりして距離を取る

  2. クマが飛び掛かってきた場合は、うつぶせで小さくなり、首と顔を守る

  3. 両手を後ろに回して、顔や頭を隠す

  4. クマが反撃してこないと判断したら、姿勢を維持し続けることが重要

※エサ不足やドングリの不作などで、クマの行動範囲は拡大しており、住宅街や公園でも遭遇の可能性があります。


被害を防ぐために

  • 森林や公園、住宅街の周辺では、常に警戒し距離を保つ

  • 犬の散歩やジョギングなど、人通りの少ない時間帯の外出には注意

  • ゴミや食べ物を屋外に放置しない

  • 遭遇した際は、無理に走らず防御姿勢を取る


まとめ

クマによる人身被害は、事故の瞬間だけでなくその後の治療・リハビリ・生活にも長期的影響を与えます。顔面や上半身への攻撃が多く、重傷化しやすいため、防災意識を持つことが重要です。