はじめに
地震や豪雨などの大規模災害が発生すると、私たちの心は不安と混乱でいっぱいになります。しかし、そうした混乱の中で、人の弱みに付け込む「火事場泥棒」が出現することをご存じでしょうか?
この記事では、実際に土砂災害現場を歩いた経験から、「被災地で起こるもう一つの災害」とも言える盗難被害の現実を共有します。避難所生活中、家を空けざるを得ない状況で、何が起こっていたのか。被災者の心理や地域の対策についても、リアルな視点でまとめました。
1. 避難所に身を寄せる中での不安
災害発生後、多くの住民は家に住めなくなり、避難所や親戚の家に一時的に身を寄せます。ライフラインが絶たれ、家の中は土砂まみれ。そんな状況下では、貴重品や重要書類をすべて持ち出すことはできません。
「家を空けなければならない」という状況こそが、火事場泥棒の隙になります。
2. 住民の目が変わる「知らない人」への警戒心
災害直後、私が現場を歩いたとき、住民の方々の表情には強い警戒心がにじんでいました。とくに「普段見ない人」が地域を歩いていると、住民の目は明らかに鋭くなるのです。
「この人は助けに来てくれた人?それとも何かを盗もうとしている人?」
そんな疑念が無意識に湧いてしまうほど、被災地では人間関係も張りつめた空気になります。
3. 実際に火事場泥棒は存在するのか?
はい、います。
メディアでも報道されている通り、被災地では「火事場泥棒」の被害が確認されています。警察によるパトロールや、警備会社(たとえばALSOKなど)による善意の見回りが私が知っている範囲内では行われていました。これは、実際にそうした被害が起きる可能性が高いことを示しています。
4. 心が弱っているときこそ、信頼と連携を
被災者の中には、体力も精神も限界の状態にある人も多くいます。そうした中で「疑う目」で他人を見ることは辛いことですが、火事場泥棒の存在を知ることで、「なぜ住民が警戒するのか」を理解する助けになります。
支援に入る人は「信頼される外部の人間」であることが大切です。挨拶や自己紹介、所属の明示など、小さな信頼構築が、防犯と安心につながります。
まとめ:災害は自然だけでなく「人災」も連れてくる
被災地では、自然災害だけでなく、「人災」というもう一つの災いが起きることがあります。
避難生活の中で、「大切なものを失う」ことの重さは計り知れません。命を守ることが最優先である一方で、「火事場泥棒に注意する」という意識もまた、現実的な防災の一環です。
被災地で活動される方、支援する方、そしてこれから備えるすべての方へ、心の防災も含めた対策を呼びかけたいと思います。